朗読少年 宮沢賢治 詩ノート 汽車


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Apr 25 2021 2 mins   1
汽車 一九二七、二、一二、          プラットフォームは眩ゆくさむく          緑いろした電燈の笠          きららかに飛ぶ氷華の列を          ひとは偏狭に老いようし          汽車近づけば          その窓が Ice-fern で飾られもしよう 車のなかはちひさな塵の懸垂と そのうつくしいティンダル現象     日照はいましづかな冬で     でんしんばしらや建物や鳩          かゞやいて立つ氷の樹          青々けぶる山と雲          髪をみだし          黒いネクタイをつけて          朝の汽車にねむる写真師 ……これが小さくてよき梨を産するあの町であるか…… ……はい閣下 今日は多量の氷華を産して居りまする…… ……それらの樹群はみなよき梨の母体であるか…… ……はい閣下 あれは夏にはニッケル鋼の鏡をつるす   はんの木立でございます…… ……この町の訓練の成績はどうぢゃ…… ……はい閣下 寒冷ながら   水は風より より濃いものと存じます……          けむりは凍えていくつにもちぎれて          松の林に落ちこむし          アカシヤの木の乱立と          女のそのうつくしいプロファイル     もう幾百 目もあやに     風や磁気に交叉する電線と